
毎月巡ってくる新月。皆さんもブログやSNSなどで「今日は〇〇座の新月です」「新月の願い事を書きましょう」というフレーズを見聞きしたことがあるのではないでしょうか? 自分の生活を充実させるために、月が持つ特性を活かし、月のリズムを生活に上手く取り入れている人も増えています。
一方で、月のサイクルや星座との関係性が分からないまま、おまじない的に「新月の願い事」を書き、やみくもに欲求を満たそうとしている人も少なくありません。新月の願い事の意味や仕組みをしっかり理解し、自分のものにしてみましょう。
■月のサイクルと満ち引き
私たちが普段使っている1月、2月といった月は、「太陽暦」と言われ、太陽の周期を使用した暦になります。しかし、昔は月の周期を使用した「太陰暦」が取り入れられていました。
月齢のサイクルは約28日であるため、現代のように1ヶ月が30日、31日ではありませんでした。旧正月が現在の1月1日から大きくずれているのは、太陽と数日違う月の周期を使っているからなのです。月齢のサイクルを使った太陰暦は、新月が1日になります。上弦の月(半月)、満月、下弦の月(半月)、そして再び新月と繰り返されていくのです。
また、月と潮の満ち引きは密接な関係があります。月の引力によって満ち引きが起こり、満月や新月はその引力がより強くなるため、「大潮」と呼ばれるのもそのひとつです。
■新月とはどんな状態?
別名「朔」とも言われる新月とは、私たちから見えない状態の月です。実際、月は空にあるものの、これはどういうことでしょうか?簡単に説明すると、「月」「太陽」「地球」の位置関係がポイントになります。
新月は、地球・月・太陽という並びのときに起こります。太陽が照らすことで、月の向こう側は「影」となり、地球からはその影しか見えなくなります。正確に言えば、月が無くなっているのではなく、「影になった月」を見ているのです。
逆に満月は、月・地球・太陽という並びです。太陽が月を照らしているものを、間の地球にいる私たちは見ています。地球の真後ろから太陽が目の前の月を照らすことで、私たちはあの真ん丸とした月の形が認識できるのですね。
ちなみに半月は、地球と月が同列にあり、同じ距離で太陽の光を受けているときの状態です。片側から太陽の光を浴びている月、つまり陰と陽の両面を見られる状態が、半月です。
■古代での月や星の関係
新月や満月の意味は、古代の人たちには理解できないものでした。しかし、意味が分からなくても、日々細くなったり丸くなったりやがて見えなくなったりと、現代の人たちよりその天体ショーをも生活に結び付けて暮らしていました。
古代の人たちにとって新月は、満月から徐々に欠けていき、ついに月の光が見えなくなる、つまり、月の死を意味すると考えられていました。そして、そこから再び光が生まれ、満月に向けて満ちて再生していくプロセスの始まりとして、新月は特別な日であったのです。
その他、月と星の位置関係は、予言としても活かされます。例えば、その国において大きな有事があったときの月と星の位置と、再び同じような位置関係となったとき、人々は警戒をするようになります。また、農作物を育てる過程では、月の満ち欠けで種を植える時期を決めたり、収穫をしたりと、農作業におけるタスクのタイミングを月のリズムに合わせていました。
一般的な月のサイクルの中で、月の一部が欠ける「蝕」の状態が起こるのは、古代の人々にとって脅威を感じるものでした。特に、満月時の月蝕は、太陽を飲み込んでしまった龍の仕業と考える人もいたほどです。蝕は月の要素をドラマティックに高めるとされ、現代も蝕が起こるときは世の中的に大きなニュースが流れやすいと言われています。
このように古代の人たちは、星よりも月を重視していたことがわかります。
■月と占いの関係
古代での月や星の関係について説明しましたが、現代はどうでしょうか?今は、新月や満月の仕組みが解明され、天文学など勉強する人も多くなりました。月のリズムをもっと日常生活に活用していこうと、占いやヨガに取り入れる人も見られます。
例えば、太陽と月の位置を導き出して占う西洋占星術はもちろんのこと、その他の占術でも、新月から次の新月までの月のサイクルが関連しているものが多いです。宿曜占星術のように月の運行を使った占星術もそのひとつといえるでしょう。
月のサイクルや姿形が世の中のニュースを作り出していると考えられてからは、今では月のカレンダーも多く販売されています。つまり、現代は太陽暦が主流とはいえ、太陰暦の名残もしっかり現代社会で浸透しているのですね。
■新月はなぜ人気? 願いが叶う仕組みとは?
月を活用した占いやおまじないの中で、もっとも有名なアクションのひとつに、新月の願い事があげられるでしょう。特に2000年代に入った頃、この新月の願い事は日本でも大ブームになりました。新月には人の願いを叶えるパワーがあるとされ、新月に合わせて意識的に願い事を書くことで、自分の願望を叶えようというメソッドです。
特にジャン・スピラーの「新月のソウルメイキング」は、スピリチュアル好きの愛読者となりました。現在、広く知られている新月の願い事は、彼の解釈を取り入れているものが多いです。この本を読んで初めて新月の願い事を知り、活用するようになった人は大勢います。興味のある方は、実際に書物を読まれるのもいいでしょう。
なぜ、新月の願い事が叶いやすいのか?に焦点を当てます。新月には、物事を再生する、スタートを切るというキーワードが含まれています。実際に少しずつ光が当たりやがて満月となっていく様は、私たちに希望ややる気を与えてくれます。
「一年の計は元旦にあり」と言われるように、最初の決意や願望を自分で確認をすることで、その後の行動計画や実際にしなくてはならない課題がはっきりします。目標に対して、やるべきことを明確にすることで、達成率が上がるのです。
そして、新月の願い事はその時の星座も重要なポイントになります。「今日は〇〇座の新月です」という文章を見たことがあるでしょう。各星座にはそれぞれキーワードを持ち、そのキーワードに沿ったお願い事をすると、より願望実現に近づくと考えます。
また、各星座には、人生の縮図ともいえるテーマが与えられています。自分にとって必要なテーマに沿った願い事をしたためることで、足りない面を補ったり、強化したりできるのです。一年を通して長期的に願い事を続けるほど、あらゆるテーマを意識した目標が立てられ、行動が起こせます。人生のテーマを広げた願い事は、より自分の人生のスケールが広げられるでしょう。
■新月の願い事を実践するには

新月の願い事の方法は、「願い事を書くだけ」と、とてもシンプルです。ジャン・スピラーの「新月のソウルメイキング」では、書き方のポイントが記されています。後々それを元に多くのアレンジが派生しましたが、ルールの共通事項としては、以下のようなことがあります。
・新月を迎えた瞬間を挟んで前後8時間に行う
・手書きで書く
・願い事は1つの文に1つ
・願い事の数は2件から10件
・願い事を書いた紙は次の新月まで保管をする
また、これらのルールをベースとして、以下のようなことがアレンジされます。
・紙やペンの色
・願い事の数
・記録の残し方
・ボイドタイムの扱い方(※ボイドタイムとは、月が他の天体とメジャーアスペクトを取らない時間。すべてが無になる=願い事が叶わないとされる)
・1ヶ月経った後の行動
ポイントは、テーマに沿った願い事を書くことと、書いた後はその内容が叶うための行動を意識することです。書くだけでなく、行動もセットにすることが大切なのです。
■星座別の新月と取り入れたいテーマ
次は、各星座が持つキーワードやテーマをもとにした、新月に行うと良い願い事です。星座が持つ意味を理解し、その意味から連想して何を始めるか考えてみましょう。それぞれの新月でどんなキーワードを加えていくか、自分で作り出せるようになります。
– 牡羊座の新月
12星座の最初の星座として、始まりの要素が強く、パワフルなスタートを切る新月です。新しいことに着手したり、勇気を出してチャレンジしたり、自分の人生の主導権を握るような、エネルギッシュな願い事を書きましょう。
– 牡羊座の新月
始めたことを着々と継続させる新月。日常の充実を願うキーワードもおすすめです。衣食住を整えたり金運をUPさせたりといった生活レベルを高めるための行動を取り入れた願い事もいいでしょう。
– 双子座の新月
循環がもたらすメリットをイメージする新月です。人や情報、そして自分自身の知性も高めるような願い事もおすすめ。人間関係運のUP、勉強や仕事に関する情報を手に入れたいときに、双子座の新月を活用しましょう。
– 蟹座の新月
蟹座は月のホームベースでもあり、心の安定をもたらす新月です。家庭運の好転や充実、自分にとって安らぎを与える人物との出会いや、ホームベースを整えたいと思っている人には良いタイミングといえます。
– 獅子座の新月
承認欲求を満たすための願い事をする新月です。多くの人に注目されたり、賞賛されたりと、自分がトップに立ちたいと願っている人には獅子座の新月を活かしましょう。華やかな日常を求める人にもおすすめです。
– 乙女座の新月
思考が冴え、正しさを追求できる新月です。的確な判断力や、冷静さを鍛えることで得られるメリットをイメージした願い事をしましょう。仕事運を高めたい人、自分にあった仕事を見つけたい人もおすすめです。
– 天秤座の新月
調和の取れた賑やかさを与える新月です。多くの人に愛されたい人や魅力を高めて注目されたい人にも背中を押してくれるでしょう。結婚や仕事面で、良いパートナーを求めている人は貪欲に活用するといいでしょう。
– 蠍座の新月
深い洞察力を鍛えてくれる新月です。極めたいものやもっと距離を縮めたい人や物事があれば、願い事に取り入れてみましょう。資産を増やしたり、蓄えたりするのも適したとき。豊かさを求めて書いてみましょう。
– 射手座の新月
高度な学びや自分の哲学を鍛えてくれる新月です。向上心や知的好奇心を発揮することで得られることをイメージしてみましょう。難しい資格や試験にチャレンジしている人は心強いサポーターとなってくれるはずです。
– 山羊座の新月
組織や責任に関するテーマを強化する新月です。責任ある立場を任せられていたり、勝負どころだったり、プレッシャーを感じる場面でうまく乗り切れる力が与えられます。トップとしての資質を高めてくれるでしょう。
– 水瓶座の新月
社会性を高めてくれる新月です。自分の個性を受け入れ、自信を持って社会にアピールすることを後押ししてくれます。質の良いコミュニティを求めている人、趣味の仲間が欲しい人にも適しています。
– 魚座の新月
心の豊かさやインスピレーションを高めてくれる新月です。精神的な充実を求めている人や、クリエイティブな感性を育てたい人はこの新月を活用してみましょう。自分の感覚を信頼し、研ぎ澄ませてくれるでしょう。
■女性が新月を活用することのメリット
女性の月経サイクルと月のサイクルは似ています。気分の浮き沈みや体の不調などを感じている人の中には、月のリズムを意識して取り入れ、自然との調和を得ることで、心と体のバランスを取ろうとする人もいるほどです。
また、迷信に近いのかもしれませんが、満月の日は出産が多いともいわれています。テレビドラマの「コウノドリ」でも、そんなエピソードがありました。月と女性の身体には、医学的に説明のつかない共通点があるのかもしれません。
新月は心と体をリセットさせるにはぴったりの日とも言えるでしょう。ストレスに何かとさらされやすい現代の女性こそ、古代の人たちが活用していた月のリズムを取り入れるべきなのかもしれません。その光が強くなっていく新月の瞬間に、スタートを意識したアクションを取ることは、リフレッシュにもなりますし、明日への活力にもつながります。
■新月におすすめのアクション
– 新しい計画を立てる
各星座の新月のテーマに沿った企画を立ててみましょう。大きな企画でなくても大丈夫。例えば、獅子座の新月に「今日からファッションに力を入れる」と決め、洋服を買う計画を立てるのもいいですね。
– 掃除をする
自分自身だけでなく、自分がいる場所もリセットをしてみましょう。汚れている個所があればしっかり掃除をすること。鏡をピカピカに磨くのもおすすめです。
古いものを新しいものに取りかえる
– 台所のスポンジや、靴など、普段使うもので古ぼけてしまったものがあれば、新調するタイミングです。仕事運を高めたい人は仕事アイテムを新しいものに切り替えてもいいでしょう。
– 美容院に行く
ヘアカラーやパーマなど、その状態を長くキープしたいと思っているメニューを取り入れましょう。髪を伸ばしたい人もこの時期に切り揃えておくといいでしょう。
– 神社仏閣に行く
自分で決めたスタートを宣言する場所に行きましょう。決意がより強化され、目標達成に向けてしっかり取り組もうという気持ちが強まります。
– 心を整える
ヨガや瞑想など雑念を取り払うアクションを取り入れたり、無の境地に誘ってくれるアクティビティもおすすめです。
– ガーデニングを始める
ガーデニングをしている人は、新しい花や野菜にチャレンジしてみましょう。新月に適しているのは土壌づくりと種まきです。
■ 新月に控えたいアクション
逆に新月に行わないほうがいいことがあるでしょうか?新月はリセットの状態。つまり多くのことを吸収するときです。マイナスな感情や習慣など、自分の中に取り込みたくないものは避けるようにしましょう。特に、これから月が満ちていくタイミングでの暴飲暴食は、そのまま自らの身体にため込んでいくことになるのでおすすめできません。本当に身体にいいものだけを取り入れる心がけが求められます。
■まとめ
新月は月のリズムを取り入れて生活したい人にとって、とても大切な日です。星座のテーマと組み合わせることでより大きな月の恩恵が感じられるでしょう。漫然と過ごす日常の中、月のリズムにそって区切りをつけていくことは、古代の人たちがプレゼントしてくれた、より良い生活を過ごすための知恵なのかもしません。